ある日ふと、舌がしびれるような感じがする…
そんな経験はありませんか?
「ピリピリ」としたり、「ジンジン」としたり、違和感を感じることがあるかもしれません。
そんな時、なにか病気の前兆なのか、ちょっと不安になってしまいます。
実は下のしびれにはいろいろな原因があるようです。
もしかしたら原因は口の中だけでなく、脳神経や精神的なことが理由かもしれません。
舌のしびれには、どのような原因が考えられるのでしょう。
舌がピリピリする原因は?
舌がしびれる原因は多岐に渡ります。
・神経痛
しびれと共に、電気が走るような感覚がするときは、神経痛の可能性があります。
これは動脈硬化を起こした血管が神経を圧迫して起こります。
・欠乏症
栄養素が不足している時に、舌のしびれを感じる場合があります。
亜鉛欠乏症、鉄欠乏性貧血、ハンター舌炎(ビタミンB12欠乏)などがあります。
・添加物の過剰摂取
化学調味料、過剰な塩分、発色剤、保存料、着色料といった科学的な添加物を多く摂っていると舌がしびれることがあるようです。
・口腔乾燥症
口腔乾燥症とは、唾液の量が減り、口の中が乾燥してしまう病気です。
この病気により、舌に灼熱感や痛みを引き起こすことがあります。
・糖尿病
唾液腺の機能が低下したり、のどが渇きやすくなり、口腔乾燥症を引き起こします。
・脳梗塞
この病気は突然発症するため、突然舌のしびれが起こった時は要注意です。
・舌がん
腫瘍が神経を圧迫することにより、舌のしびれを感じるようになる場合があります。
・舌痛症
この病気は「原因が見当たらないのに、舌に痛みやしびれを感じる」という、心身症の一つです。
几帳面で神経質な生活を送っており、ストレスの多い環境にある40代以上の女性に多く見られる病気です。
それぞれの病気と何科を受診すればいいか
舌の痛みやしびれでお悩みの方に、どんな病気か、またどの診療科を受診すればいいのか、治療法は?などを紹介します。
口腔粘膜疾患とは、誤ってかんだりかぶせ物や義歯などによる外傷性のものを言います。
これらも一種の口内炎です。
誤咬の場合は、そのまま様子を見るか、軟膏を付ければ治ります。
また、鋭利な部分や荒れたところがあれば歯科で研磨すれば傷の治りとともに舌痛も収まります。
微妙に表面が荒れた仮歯が装着された場合は、仮歯の期間が長くなるとわずかな傷ができ、慢性的に外傷性の痛みが続くかもしれません。
口内粘膜疾患の場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
口内炎はアフタ性口内炎と呼ばれるものが最も多く、食事や刺激のあるものでひどく痛んだりしみたりします。
直径数ミリ程度のもので周囲が赤くなるタイプのものが一般的で原因は不明です。
特に心配はありません。
何もせず経過を観るだけで治る人もいます。
何回も再発するものもあり、場合によっては軟膏やうがい薬を使用します。
ヘルペスなどのウイルス性の口内炎もあり、その場合は、抗ウイルス薬の飲み薬や軟膏を使います。
口内炎の場合は、内科や歯科口腔外科、耳鼻咽喉科です。
口腔乾燥症は、刺激物がしみたり、ヒリヒリとした舌痛が出現することがあります。
粘膜を保護する作用のある睡液の流出が低下することが原因です。
舌の表面が赤く、表面の細かい凹凸が無くなり、平らに見えます。
口腔乾燥症の一部にはこのような舌に症例もあります。
睡液流出が低下する原因は様々ですが、各種薬剤の内服でも出現します。
鋭利な歯や義歯がなくても口内炎の治りが悪くなり長引くこともあります。
特に高齢になると舌の粘膜が薄くなります。
また、無意識に舌を動かしてしまうことも口内炎に影響を与えます。
軟膏の湿布を加えて、保護のためにマウスピースの装着を行う場合があります。
口腔乾燥症の中には、シェーグレン症候群という自己免疫疾患が原因となる場合があります。
口の乾燥のほかに、目が乾燥したり、関節の痛みなど全身症状が現れます。
口腔乾燥症の場合は、内科や歯科口腔外科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
口腔カンジダ症は、カンジダ菌という真菌(カビの一種)の影響によって痛みを感じることがあります。
白色の苔のようなものが見えます。
ガーゼで拭える典型的なカンジダ症によるもので、高齢者、義歯の使用、がんや感染症の影響で免疫力が低下しているときなどに出ます。
口角炎を起こす場合も要注意です。
カンジダ菌自体は口腔内の常在菌ですので、菌があれば病気ではなく、舌の痛みなど症状があれば治療することになります。
口腔カンジダ症の場合は、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科です。
地図状舌、溝状舌は、地図のように白い縁取りのある、赤みがかった斑紋がまだらに出現します。
食べ物が染みるなど痛みが出現します。
溝のような亀裂が目立ちます。
溝状舌と言われるものですが、これ自体は痛みがない場合がほとんどですが、刺激物の摂取でしみる場合があり、教科書的にも特効薬はないとされていて、一般的にはうがい薬や軟膏での経過観察が多いです。
近年、内服薬の処方で改善するという症例もあります。
地図状舌、溝状舌の場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鉄欠乏貧血、亜鉛欠乏、ビタミン欠乏によって舌痛が起こることがあります。
近年では栄養状態が改善していて、比較的まれです。
状態が問題ない方は心配ありませんが、食事に極端な偏りがあったり、過去に貧血を指摘された場合は、耳鼻科や内科で血液検査をしましょう。
プランマービンソン症候群の一症状で、舌の乳頭(つぶつぶした細かい突起)が失われ、表面が平渇化し赤くなっています。
この症状の場合は、内科、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
口腔がんの場合は舌に痛みを起こす病気の中で、最も重要なのががんの鑑別です。
がんが浸潤し舌の神経を刺激して痛みを発します。
表面がただれて、デコボコしている、病変の境界がはっきりしていない、周りが硬いなど特徴的な所見の場合は良いのですが、傷のようなものだと思ってしまうものがあるので細心の注意が必要です。
この場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。
扁平苔癬は白色のレース様の角化病変が特徴ですが、赤味が目立つものやびらん漬痕がみられることもあります。
頬粘膜のようにまだ白色の病変に発赤が混ざった状態になります。
舌の場合は白色の病変が主です。
自己免疫疾患やウィルスや最近の関与、アレルギーなど様々な原因があるといわれていますが、はっきりとしていません。
この場合は、皮膚科や歯科口腔外科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
天疱瘡の場合は、自己免疫疾患で難病として国の特定疾患に指定されています。
口腔内に出現することが多く、悪化して出血や痛みを伴い食事に支障をきたすのです。
速やかな皮膚科の受診をお勧めします。
神経痛は、舌の前の方の三叉神経と下の付け根や奥の方である舌咽神経があります。
この神経が隣り合った血管に圧迫されると痛みやしびれを起こすのです。
舌の片側だけの痛みがあり、食事や会話などで下を動かすときに痛みが悪化する場合は疑う必要があります。
その場合、血管による神経の圧迫がないかMRIでの検査が必要になります。
脳神経外科やペインクリニック、歯科口腔外科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
メンタルの病気で通院している場合は、主治医の先生に相談しましょう。
これらの病気がお口の痛みに影響するかもしれないからです。
心療内科や精神科を受診してください。
舌のしびれの要因は様々です。
しびれが時々なら、いったん様子を見ましょう。
自然に消えてしまうようであれば、問題はありません。
しかし症状が悪化していくようなら、医療機関の受診を受けるようにしましょう。
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